Google、そのローレベルの達人性
2006年7月4日(Tuesday) 11:37pm Web アイディア「グーグルの垂直統合思想」という記事を読んで思い出した。
BrinとPage(つまりGoogle)の本当の強みは、達人的なアーキテクト(コンピュータ設計)能力にある、という話を書こうと思いつつ忘れてたことを。
そう思った元ネタはこの2人がスタンフォード大時代に書いた”The Anatomy of a Large-Scale Hypertextual Web Search Engine“という論文。google.stanford.eduから始まったGoogle検索エンジンの設計について。
僕はこの論文を読んで、棒で頭をぶん殴られるような衝撃を受けた。ちなみに今のところ棒で頭を殴られた級の文章はこれと『水素エコノミー』くらいのもの。
Googleはいまや周知のアプリケーションだが、当初からとにかく従来ないほどの莫大なファイル数を高速、高精度で検索することを目的としていた。その辺の目的も論文にしっかり書かれている。
そのための一つの発明が有名なPageRank。これについては語りつくされている。
アルゴリズムはPageRankで決まりとして、それを実際に計算するラージスケールのコンピュータが必要、というのがもう一つの柱。ここでGoogleがすごいのは、次の洞察。
Although, CPUs and bulk input output rates have improved dramatically over the years, a disk seek still requires about 10 ms to complete. Google is designed to avoid disk seeks whenever possible, and this has had a considerable influence on the design of the data structures.
PCなどのコンピュータが劇的に進歩したというのは誰もが実感しているけど、BrinとPageは「ディスクのシークだけ例外」と言っている。
ディスクのシークは、レコードの針を想像すると分かりやすい。途中の曲を聴くときのように、目的のデータがある場所までヘッド(レコードの針に相当)を移動させる必要があるのだが、ここは全然速くならないと読んでいる。
数あるコンピュータ部品の中から、ピンポイントで見切るシャープさが素晴らしい。宮本武蔵なみにヘッドの動きを察知して「遅い!」と言い切るようなものか。
しかも、見切るまでは半分で、いかにシークに合わせて最適化するか、という点を執拗に考えている。ヘッドがあまり動かなくて済むように、物理データ構造、ファイルシステム、データベースを集中的に設計している。データベースと言いながら全然RDBとかではなくて「ISAMだよ」とさらっと書いてある点が驚異的だ。
ここが達人的と言いたくなるポイント。
あの人たちは、ディスクのヘッドの動きを肌の感覚として感じながらソフトウェアを作っている。
そのうえ、性能面でそんなに問題にならないところはLinuxのような既存の実装を組み合わせることでサイボーグのようなハイブリッドOSを作り上げている。
そんなわけで、あんなアキバ系の顔で実はコンピュータの動きを異様に見切っていたBrinとPage。たぶん、あの人達は垂直統合というぼやけた感覚ではなく、もっとシャープに次のコンピュータ像を既に持っている。
ライバルが水平分業なのは間違いないが、Googleの行動原理はおそらくライバルのビジネスモデルとは関係のないところから湧いて出るだろう。
冒頭の梅田望夫の記事は「半導体にまで『垂直統合』の領域を広げていくのだろうか。じつに興味深い。」という結びになっているが、それはCPU開発とかではないように思う。
上の問題意識の延長で行くと、先に不揮発性メモリ(ディスクの代替技術)に目をつけているんじゃないかと想像している。
さらにさし迫った問題としてエネルギー問題があり、太陽電池には既に一枚かんでいる。ある程度実験的に着手しながらも、今後ともGoogleはかなり具体的な問題解決にフォーカスしていくんじゃないかと思う。
以上、天才というのは存在するんだなぁと思った話。
2台同時USB充電「モバイルクルーザーツイン」
ロウアーミドルの衝撃
Javaデザインパターンハンドブック
インポッシブル・シンキング 最新脳科学が教える固定観念を打ち砕く技法
ほぼ日刊イトイ新聞の本

2006年7月23日(Sunday) 12:00pm
インポッシブル・シンキング 最新脳科学が教える固定観念を打ち砕く技法…
僕の中でこの本が大流行している。脳科学の成果から斬新な発想を体系的に強化するための方法を導いた。
主題であるメンタルモデルの概要やビジネス書としての評価についてはそれぞ…..