JavaからRubyへ September 13, 2007
Rating: 3.5

この本は純プログラミング的な移行ガイドではない。 Javaは企業アプリケーション開発の代名詞だから、『JavaからRubyへ』とは「開発プロジェクトをJavaからRubyへシフトすべき」という主張である。 『JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド』
Bruce A. Tate


副題も日本語版では「マネージャのための実践移行ガイド」としているが、原著の”Things Every Manager Should Know”の方が良いと思う。 文字通り「全てのマネージャが知っておくべきこと」であり、”全ての”に「そこのぼさっとしてるタコマネージャ。もうRubyはメインストリームでも無視できないんだぜ」という啓蒙的な主張があるのではないか。 この本が優れているのは、Rubyがいかに良いものか、というような空論に紙面をあまり費していない点。 実際にどのようなプロジェクトであれば現実的にRubyを投入できるのか、既存のプロジェクトとの関係をどう調整すべきか、どのようにプロジェクトを進めれば良いのか、といった疑問に具体的な解を提供している。

もちろんJavaほどの緻密な方法論はないが、Rubyの特徴にフォーカスしてメジャーな留意点を集中的に描いたことで勘所が分かりやすくなっている。 アジャイルだとかテストドリブンといった詳細な方法論は、各プロジェクトチームの趣味によるところが大きいし、Javaの本を読んでそのままRubyプロジェクトにも流用できることも多いから、この情報量でまずは必要十分と言って良いのではないかと思う。

余談になるが、最初に本屋でこの本を見かけたとき「こんな本が出てくるのか」と非常に衝撃を受けた。 たしかにRubyは使いやすい言語だということは実感するし、Webメディアが「国産、国産」と喧伝したくなる気分もナンセンスとはいえ分からんでもない。

しかし、本当にメインストリームで使うための方法論となると、やっぱり米国(欧州系かもしれないが)なのだと思った。 Railsのような汎用フレームワークや、この本のようなもっともらしいチーム開発方法論が新興言語でも自然に出て来るあたり、米国のアーキテクト能力の厚みを感じさせる。 ぽっと出のわりには網羅的かつ具体的に定義されていて「よく考えてるなぁ」と見上げてしまう。

といいつつ、これはゼロベースでシステムを作るときには必須の能力だから、米国に感心してばかりもいられない。 『敗戦真相記』という本がマネージメントの欠如を敗戦の大きな要因に挙げているが、半世紀も経って先端分野と考えられているITでさえ日本は何も成長しちゃいないんじゃないかとふと危惧を抱く。 この本のようなマネジメントの発想に、もっと学ぶべきなのではないか。

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